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会員の新刊のご紹介(2024)

ジュニア・ポエム双書314
あたま なでてもろてん    銀の鈴社刊A5判83ページ 1600円+税

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詩誌「角」の同人で「いまだて児童文学会」会員でもある神内八重さんの初めての少年詩集。表題作を含めた16篇第1章と、主に植物を題材にした16篇を収め「キンモクセイ」と題した第2章からなる子ども向けの作品が収められている。
 第1章には、「せんせ」に「あたまなでてもろてん」と子どもの微笑ましい出来事を優しい言葉を連ねて描いているような温かみあふれる作品が続き、子どもからうれしい出来事を報告されているような心持ちにさせる。
第2章ではキンモクセイやホタルブクロ、霞草など身の周りの草花を子どもの出来事とともに描写するとともに、「赤かぶら」「ふきのとう」「竹の子」「里いも」など植物を食べる視点から捉えた作品もあり、最後の「お」という作品では、「いつのころからか食べ物を/親しく敬う気持ちが/言葉になって/『お』を付け/『さん』で読んでいる」と、言葉と気持ちの「食育」も訴えている。漢字にはすべて読み仮名を付けて子どもの朗読にも気を遣っている所も素晴らしい。
 

柾あずさ詩集「来年の春」

ソフトカバーA5判91ページ     ワープロセンターホープ刊 1000円

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 福井県詩人懇話会会員で、県内の詩誌「青魚」同人の柾あずささんの第三詩集。詩人懇話会の「詩集ふくい」や「青魚」に、この6年間に発表してきた作品に、新作を加えてまとめた詩集。
 「故郷と共に」「家族とは」「異郷の花」「私の身辺」の4つの章に分けて、28篇の作品を収めている。著者の身辺に起こったことを題材にした生活詠のようでありながら、その底には著者の重い想いが秘められている。
第一章に収められた表題作は、「来年の春」という変化の呪文の中に、「今がいとおしい」「生きている希望である、生きているあなたがいとおしい」という著者の心が伝わってくる作品。刻みつけられた言葉の一つ一つが吟味されて光り輝いているようだ。

 

半田信和詩集「ふたつの時間」

(株)竹林館刊 四六判111ページ 1800円

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 児童詩などにも取り組んでいる半田信和会員の第三詩集。あとがきに『「ありがとう/僕と出会ってくれて//ありがとう/きみがきみでいてくれて」の言葉を妻に伝えるために、僕は本書を編んだ』とあるように、重い病と闘う妻の心を少しでも温かくしようという作品が序詩のほか4章45篇収められている。
 序詩に「短くて ほっとするもの」を探したがなかなか見つからず、「僕が書くしかない ありったけの愛をこめて」とある通り、愛があふれた、やさしい言葉の連なりに圧倒され、抗がん剤治療の合間、緩和ケア病棟で過ごした著者と妻との間の「ふたつの時間」が伝わってくる。そして、帰らぬ人となってしまった後、「もうあの明るい声を聞くことはできないのだという事実を、静かに受けとめるための詩」と、死と向き合った言葉は何と重いのだろう。思わず合掌してしまう。

藤井則行詩集「日めくり暦」

四六判103ページ、紫陽社刊2200円(税別)

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 長く県内の児童文学誌「ぱらぽっぽ」を刊行してきたふくい児童文学会代表を務め、日本児童文学者協会名誉会員でもある詩誌「果実」同人の藤井則行さんが90歳を機に、30年の間に思いを綴った現代詩の中から、27篇を選んで刊行した玉珠のような新詩集。
 表題詩の「日めくり暦」は、子どものころめくるのが「私の役目」であった、居間の日めくり暦の新しい1枚をめくり取った「新鮮な一瞬が好きだった」という思い出から、それがだんだんと薄れてきた老いの中で、「子どもころのように」戻りたいという詩。
 この詩に代表されるような、誰もが老いてなおさら痛感する新しい日々への渇望や、本、酒、伴侶といった大好きなものへの変わらぬ温かい思いが、伝わってきて心がほっこりする詩集。優しくちょっとシャイな藤井さんの微笑んだ顔が浮かんでくるようだ。

 

© 2021 福井県詩人懇話会

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