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「2024ふくい詩祭」を開催しました    2024年11月16日

 福井県詩人懇話会が最も重要なイベントとして開く現代詩の福井県の「おまつり」、「2024ふくい詩祭」が11月16日土曜日、福井市の県教育センターで開催されました。メインテーマは「山本沖子と稲木信夫の詩業を語る」で、テーマに沿った講演2題を挙行。2024年で第40集が発刊された「年刊詩集ふくい」の40周年記念として、シンポジウムを開かず、新詩集の会員掲載詩の中から希望会員の作品について、幹事4人が講評する「作品評」の時間を持ちました。
 「詩業を語る」では、金田久璋幹事が趣旨を説明した後、小浜出身の女性詩人山本沖子の人となりと作品について、県ふるさと文学館の岩田陽子学芸員が、長く福井県詩人懇話会の事務局を担当して一昨年亡くなった稲木信夫さんの人となりと作品については、詩人懇話会の佐野周一副代表がそれぞれ講演しました。
 山本沖子は、1924年小浜市の山本書店の子女として生を受け、独学で詩作を始め、三好達治に見いだされて、1946年の「世界文学」で作品デビュー、第3詩集「朝の祈り」で第4回現代詩女流賞を受賞。生涯9冊の詩集を刊行した。岩田学芸員は沖子の生まれた山本書店の古い写真など史料を示しながら、三好に「近頃まれなよろこび」とデビューを激賞された詩人の足跡をたどりました。
 福井空襲の戦禍の中で、詩作に目覚め、草の根文化誌「ゆきのした」を支え、後には「詩人会議 水脈」主宰しながら、中野重治の妹鈴子と出会いから最晩年見届けて研究を重ねて、評伝「詩人中野鈴子の生涯」は、全国組織の詩人会議から第26回壺井繁治賞を受賞しました。佐野副代表は代表作の詩「碑は雨にぬれ」など、戦争反対の強い意志を示した作品群を紹介するとともに、しんふくい出版を設立、多くの県内詩人の詩集を発刊したことや詩人懇話会の事務局長として福井県の詩壇を支えた功績を称えました。
 今回初めて行った「詩集ふくい」収録作品講評では、西畠良平幹事が有田幸代、井上義一、賀家嘉基、金田久璋の4氏、渡辺本爾前代表が神内八重、川嶋悦子、黒田不二夫、佐野周一、杉村敏隆の5氏、金田久璋、立石百代子、中林千代子、西田昌弘、西畠良平の5氏、有田幸代副代表が野尻益子、秀里喜代子、松田祐子、三嶋善之、渡辺本爾の5氏のそれぞれ5作品を講評しました。

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「文学フェスタ2024」参加報告  福井県詩人懇話会事務局長 西畠良平

 福井県ふるさと文学館が11月10日の日曜日、福井県在住者や出身者が文学作品を発表する場として、あるいは作り手と読み手の交流の場として主催した「文学フェスタ2024」に福井県詩人懇話会として参加しました。会場は福井市下馬町の県立図書館の中央エントランスホールと多目的ホールで、詩人懇話会はエントランスホールのメイン会場での「県内文学同人誌ブース」に出展しました。この展示には、詩人懇話会のほか県内の俳句、短歌、川柳など短詩形文学の団体や同人誌発行団体、高校や大学などの文学サークルなど10数団体が参加しました。 各団体やグループに与えられた展示スペースは孔板パネル2枚分と限られているため、詩人懇話会では主に、最も大きな事業である福井県内ま現代詩壇を総括するアンソロジー年刊「詩集ふくい」の発行と、その出版を記念する現代詩のおまつり「ふくい詩祭」の開催について紹介しました。年刊詩集については、10月に発刊したばかりの「詩集ふくい2024」をはじめ、3年前までの「詩集ふくい」を展示販売し、会報などの発行物も閲覧できるように展示、また、その後11月に開催を予定していた「ふくい詩祭2024」のポスターも掲示して参加をアピールしました。他の各団体やグループも、それぞれの活動を紹介するパネルや出版物を展示。詩人懇話会をはじめとする現代詩をはじめ、俳句や川柳、短歌、漢詩、児童文学や小説、エッセーといったそれぞれが取り組んでいる文学について紹介するとともに、参加者や訪れた人たちと交流し、楽しい文学に浸る1日を過ごしました。 

初開催‼ 「詩の朗読会 2024」  2024年6月15日開催  

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 黒田不二夫代表の発案で、福井県詩人懇話会の全体事業として初めて取り組んだ「詩の朗読会2024」が6月15日、福井市の福井県立図書館研修室で開かれました。自作詩や自分の好きな詩を、声を出して朗読して、表現しようという試みで、詩人懇話会会員をはじめ、懇話会が実施している「詩の教室」に参加した後、新聞発表詩などに選ばれた中学生の作品などが、会場を訪れた多く人たちの前で朗々と読み上げられました。 中学生の作品は7編で、いずれも詩を創作した本人が朗読しました。それぞれの堂々とした朗読と、会場からの質問に適格に応じた自分の詩に対する思いは、訪れた一般の人たちや家族から多くの拍手が送られました。 一般の人の自作詩では、上村良光さんの「雪」、鈴木天也さんの「シミの消し方」の2編が、また、詩人懇話会員の自作詩では野尻益子会員の「お化けになったお母さん」、立石百代子会員の「物乞いではないのに」、浜本はつえさんの「砂丘を歩く」の3編が朗読されました。 また、自分の詩ではないが、朗読したい好きな詩として島崎藤村の千曲川旅情の歌」、宮沢賢治の「永訣の朝」などを挙げ、朗読した人もいました。 

「くちなし忌」が営まれました  2024年8月24日開催  

 坂井市出身で作家、詩人、文学者、政治家として活躍した中野重治の命日である、8月24日(土)に、坂井市丸岡町一本田の重治生家跡で、重治を偲ぶ「くちなし忌」が営まれ、その後記念講演も行われました。
 例年、坂井市が命日に近い8月の第3土曜日に主催していますが、今年はたまたま命日に重なったこともあり、主催者や重治の遺族、関係者のほか、多くの地元の方たちも参列しました。
 重治の詩「千早町三十番地」が肉声録音で流され、参列者がクチナシならぬホオズキを献花台に次々と捧げました。丸岡図書館の中野重治文庫の成立に協力した東京の「中野重治の会」から林淑美さんが参列。また、重治の野辺送り以来初めてこの地を訪れたという、孫の鰀目耕太さんが遺族を代表し謝辞を述べ、「時代は変遷するが祖父の作品自体が変わることはない。語り継がれたい」と話されました。
 続いて、フルート生生演奏が流れるなか、丸岡高校の放送部生徒が「わかれ」「夜が静かなので」と重治の詩2編を朗読しました。
 この後、会場を高椋コミュニティセンターの大ホールに移し、三重大学の和田崇准教授が「中野重治と徳永直~プロレタリア作家の絆~」と題して講演。富農の家に生まれて東京帝大を出ながら労働運動に参加、プロレタリア作家となった重治と、熊本の貧しい家に生まれ尋常小中退で労働運動に入り「太陽のない街」「妻よねむれ」などの作品を残した徳永の「決してよくなかった」関係」に言及。重治と徳永が互いに批判しながらも、存在を認め合っていたと、往復書簡などで相手を直接イニシャルで語っていたことを紹介しました。和田准教授は、重治は徳永の没後、その作品や存在が埋没してしまうことを懸念して、労働文学に徳永は重要だったと主張していた例を挙げました。
 今回の「くちなし忌」日程は、詩人懇話会の幹事会と重なっていたため、西畠良平事務局長が懇話会を代表して一人だけ参列しました。
 

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