福井県詩人懇話会が福井県を基盤として活動している現代詩同人誌会員や現代詩の愛好家らに呼びかけて、年1回の福井県現代詩の集大成として刊行してきた年刊「詩集ふくい」も今年で40年となり、「第40集」の節目を迎えました。掲載した作品は、懇話会会員を中心に、県内外からの投稿を含めた45人の49編に加え、詩人懇話会の事務局長を長く務め、昨年から今年の編集期間に亡くなった稲木信夫さんの遺作を含めて、ちょうど計50編となりました。
前半の「詩篇」部分には、集まった現代詩の作品と、その執筆者自身による簡単なプロフィールを収録。後半は2023年11月19日に福井市内で開いた現代詩の祭典「ふくい詩祭2023」の記録を収録しました。この詩祭のメーンテーマは、福井県詩人懇話会の創立メンバーであり、創設の初代から24年間に渡って代表を務めた「岡崎純を語る」。
「ふくい詩祭2023」では、関西を中心とした同人詩誌「イプリス」を主宰、2022年に第40回現代詩人賞を受賞した現代詩壇を牽引する詩人で、岡崎の盟友でもある倉橋健一氏が「岡崎純さん、詩のもたらす素顔を求めて」と題して基調講演しました。その後、「岡崎純を語る」というシンポジウムが開かれ、岡崎の没後、過去の詩集や遺された原稿などを基に、「岡崎純全詩集」刊行を進めた孫娘の安井杏子さん、岡崎が主宰していた文芸同人誌「角」の代表を引き継いだ金田久璋さん、「角」同人の玉井常光さん、そして岡崎が退任した後の福井県詩人懇話会代表を務めた渡辺本爾さんが、詩人・岡崎純、そして福井県の現代詩壇の中心としてリーダー役を務めた福井県詩人懇話会代表としての偉業について振り返りました。年刊「詩集ふくい」2024には、この詩祭の全記録が掲載されています。
A5判163ページで、発刊の奥付は「2024年10月20日」。価格は税込み1800円。
福井県内のすべての公立図書館に収蔵したほか、福井市のカボス二の宮店でも販売しています。
収録詩 作者(50音順) 作品名
青山 雨子 板
赤木比佐江 お金の気持
朝日 信子 つるバラの花
有田 幸代 卵
花との出会い
井上 義一 ピエロの森
上坂千枝美 おまじない
大竹 雅彦 踊る-舞う-其れを眺める
刑部あき子 つゆ晴れの朝
小田 富英 森のふくろうへの独言Ⅸ-1
森のふくろうへの独言Ⅸ-2
下々味万九郎 母の匂い
賀家 嘉基 冬の葬列
笠原 仙一 愛の心
金田 久璋 分母の日々
神内 八重 母の挽歌
川口 田螺 暖冬の憂い
川嶋 悦子 熟した果実
川瀬 新一 国鉄神宮移転60年
黒田不二夫 かげ
小泉 強 花梨
佐野 周一 民草の大罪
杉村 敏隆 宝宝
墨田丸沈潜 リセット
瀧本めぐみ 橋
龍野 篤朗 パン屋にて
立石百代子 日本の良い子どもになります
千葉 晃弘 思春期と思冬期
とくしともこ 後期高齢者
カナシイケレド
友清 恵子 幽居
中林千代子 流れゆく日々
なた としこ すみれ よ
西田 昌弘 とある僧の一生
西畠 良平 福井駅から乗り換えなしで東京へ
野尻 益子 新郎の手紙に
浜本はつえ 交信
半田 信和 プラタナス
秀里喜代子 親の心
藤井 則行 黒
もち
柾 あずさ 白鳥路
まつうらまさお九十三歳に
松田 祐子 草とり
三日月一弘 移ろい
三嶋 善之 新幹線で行こう
森川りょうこ 紅八重ムクゲの花が咲いている
山口 万喜 ライバル
渡辺 本爾 やがて
死去会員 稲木 信夫 詩碑
